権利証と登記識別情報通知の違いとは?紛失した場合の手続きについて解説

不動産の基礎

不動産の権利証とは、正式には「登記済権利証」と言います。

不動産の所有者がその不動産を所有していることを証明するものです。

不動産を所有している方であれば権利証を所有していますが、昔に発行された書類のため、土地や建物を売却する際に権利証が必要となり、探しても見当たらなくて焦る方は多いのではないでしょうか。

権利証が必要なケース
  • 不動産の売却
  • 不動産を担保に融資を受ける
  • 不動産を相続(事案に応じて必要)

この記事では権利証についてや権利証を紛失した際の手続きについてもわかりやすく解説しています。

事前になって焦らないようにするためにも、事前に知っておくべきポイントを押さえていきましょう。

権利証と登記識別情報通知の違いとは

登記識別情報通知とは従来の登記済権利証に代わるものです。平成17年の不動産登記法の改正により新しく発行されるようになった書類です。

旧不動産登記法において、不動産の登記申請を行った際、申請書に必ず登記原因を証する書面または申請書副本を添付すべきものとされ、その登記が完了したときに登記所は申請書に添付された原因証書または申請書副本に、登記申請の受付年月日・受付番号・順位番号及び「登記済」の旨を記載し、登記済印を押印して登記権利者に交付するものとされていました。

この登記権利者に交付される書類を「登記済証」といい、一般的に「権利証」と呼ばれ、登記名義人の本人確認・真意確認のための重要な書類となっています。

現行法(平成17年4月13日施行)では、登記済証制度は廃止され、オンライン指定庁において登記が完了したときには、「登記識別情報」が登記官から登記申請人に対し通知されます。

「登記識別情報」は不動産および登記名義人となった申請人ごとに、アラビア数字その他の符号の組み合わせによって定められ、登記名義人がこれを適切に保存・管理する限り、登記名義人以外のものは知り得ない情報となります。

また、登記官は登記を完了したときは申請人に対し、「登記完了証」を交付することにより、登記が完了した旨を通知します。

また、書面申請の場合は登記官より「登記識別情報通知書」、「登記完了証」の書面が交付されます。

従って、現がいつ登記されたかにより売主が所有している書類が異なります。

権利証は再発行されるか

権利証の再発行はできません。ただし、事前に手続きを行えば権利証なしでも売却することは可能です。

権利証を紛失した際の手続き

①事前通知制度を利用

事前通知制度とは、登記名義人が登記識別情報を提供できない場合などに、今回の登記申請についての本人の意思を確認するために、法務局から申請人に対して「登記申請がなされたこと」および「自分が確かに陶器を申請した旨を申し出る旨」を通知する書面を郵送し、一定期間内に、登記名義人から間違いない旨の申し出があったときにはじめて登記の実行をする制度です。

②資格者代理人による本人確認情報の提供

司法書士等の有資格者が登記の申請を代理して行う際には本人確認情報を添付して申請することで権利証がなくても不動産を売却することができます。

具体的には、申請を代理する司法書士が本人と面談して不動産の取得経緯や本人確認のためヒアリングを行い、必要な証明書を確認し、本人だと自己の責任で確認したことを書面にします。.

それを添付することで権利証の代わりにすることができます。

③公証人による本人確認の認証

本人確認については、上記の司法書士等の代理人ではなく、公証役場で公証人に本人確認をして申請することができます。

司法書士に対する登記申請を委任状に署名捺印を行い、その委任状に「確かに売主本人が目の前で署名しました」という認証文を公証人につけてもらい、その委任状を登記申請書に添付すれば権利証の代わりになるという制度です。

不動産取引の現場では費用がかかりますが、②資格者代理人による本人確認情報の提供で取引を進めることが大半です。

理由としては下記2点
  1. 売買契約書に所有権の移転時期を「売買代金の支払いを受けた時」とする約定が付されているため。
  2. 融資利用の場合、事前通知制度の利用が抵当権者の同意が得られない可能性が高いため。

大手仲介会社の契約書には所有権移転の時期についての約定が記されています。

事前通知制度にて登記申請を行う場合、残代金の支払いは法務局から申請人に対して確認が取れた後となるため、契約書の約定に対する修正が必要となります。

また、買主が融資を利用する場合は残代金(融資実行時)には登記ができるか確定ではないため、抵当権者の同意を得ることは難しいことにより、事前通知制度の利用を行うことはありません。

③公証人による本人確認の認証であれば費用を抑えることはできますが、自身で手間をかけて公証役場で手続きを行わないといけないため、②資格者代理による本人確認情報の提供をおススメしています。

まとめ

権利証は大切な書類ですが、不動産の取引時にしか使わないためどこに保管したか覚えてないケースがよくあります。

しかし権利証を紛失したとしても上記の方法で登記名義人であることを証明すれば不動産の売買を行うことは可能です。

もし紛失したとしても慌てず担当の営業マンや登記を担当する司法書士に事前に相談することが大切です。

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